金沢 なるべく吸える喫茶店

吸えたら良いけれど吸えない時もあるから飲めたら満足です

タバコが出てくる映画『悪い夏』

2025年/日本/日本語/114分

あらすじ

市役所の生活福祉課に務める佐々木は、ある日
「同僚が生活保護受給者のシングルマザーに肉体関係を迫っているらしい」
という相談を受け、真相を確かめようと彼女のもとを尋ねる。
その出会いが”地獄”の始まりだとも知らず……

出典:映画『悪い夏』オフィシャルサイト

waruinatsumovie.com

煙草シーン

喫煙の多くはシングルマザー役の河合優実が担う

犯罪の片棒を担ぐ竹原ピストル箭内夢菜にも一つずつ

煙草シーンの役割

始めっから最後まで、心理的に安定していない河合優実がタバコを咥えるのは必然

一方、詐欺集団の親玉である窪田正孝に喫煙シーンがないのが特徴的
いわゆるインテリヤクザ的なロールである窪田の悪さを表すのに、タバコは必要ないという演出

ザコ手下であるピストルや箭内が喫煙するのは、中途半端な輩だからタバコを吸う、という解釈

ベスト煙草シーン

直接的な喫煙ではないが、タバコが切れて、コンビニに買いに行く際、不正行為に加担せざるを得なくなった北村匠海に、「私もどうしてだか分からない」と嘆く場面

タバコという小道具が、決断できない優柔不断な人間が嗜むものである、という描き方になっている



感想

撮影場所の少なさ、心理描写の少なさ、ラス前でのカオス爆発といった要素が舞台劇にうってつけに思えた。最小の装飾で、各キャラクターを存分に描いている。

登場人物の台詞全てが、嘘か欺瞞か当てこすりしかない。
心に響く台詞が全くと言っていいほど、ない。
それが、この作品を物語っている。素晴らしい。

前述の「ベスト煙草シーン」での、河合優実のなんとなく子どもを産んで、なんとなく生活保護を受給してしまっている女性の

「私にも分からないんだよっ」

という台詞。

と、

もう一方のシングルマザーである木南晴夏に、職場の同僚が漏らす

「この国では、生活保護でも貰わないと、女が一人で生きていくのは難しい」

という台詞。

この二つの台詞のみで、見事に作品の主題を表現できている。
これだけでいい。これだけで、成立させている。

そして、ラスト数分で全登場人物の着地点を余すところなく見せる構成の素晴らしさ。
誰一人成長していないという清々しさ。素晴らしい。

 

いつも、その風貌から朴訥でいい人キャラが多い竹原ピストルの表情が、一瞬、コント山口君と竹田君竹田高利に見える瞬間があり、これは竹原ピストル史上最高の表情であった。

 

映画内に出てくるカップラーメンも、レトルトカレーも映画用にデザインされており秀逸。この手の映画には、商品提供してくれないのだろうか。
スーパーマーケットでチラッと写るS&B生わさびとかは、万引き対象にならないから写り込んでも良いのか?
登場するスーパー、ファミレスも独立店舗っぽいし、コンビニは個人色が強いヤマザキYショップだし、作品の題材でロケ地が限られてしまったのかも知れない。
もちろん、『悪い夏』においては、そんなことはマイナス要素になってはいない。

 

 

<余談>

私が観た劇場では、これから公開の『たべっ子どうぶつTHE MOVIE』の出演者が出る、
「〇〇にお越しの皆さん!」タイプの番組宣伝が流れた。

声優として出演する三人の俳優が、コメントを述べていたのだが、
横の男二人は、完全に目の前のカンペを読みまくって、目が泳ぎまくっているのだが、高石あかりだけは、真っ直ぐにカメラを見つめて、担当コメントを完璧に覚えて喋っていた。

高石あかりは、真に信頼できる人。

 

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