2024年/アメリカ・イギリス/英語/110分
あらすじ
余命わずかな15歳のチューズデーの前に喋って歌って変幻自在な一羽の鳥が舞い降りた。地球を周回して生きものの”終わり”を告げる、その名も<DEATH デス>。チューズデーはそんな彼をジョークで笑わせ、留守の母親ゾラが帰宅するまでの自身の最期を引き伸ばすことに成功する。やがて家に戻ったゾラは、鳥の存在に畏れおののき、愛する娘の身から<デス>を全力で遠ざけるべく、暴挙に出るが……。
出典:映画『終わりの鳥』公式サイト
煙草シーン
余命わずかな娘が「デス」と一緒にリキッド煙草
娘の死後、喪失感に襲われている母親が紙タバコ
変形の難病モノなので、喫煙シーンは少ない
煙草シーンの役割
リラックス感、あるいは喪失感の埋め合わせ
ベスト煙草シーン
死の鳥「デス」がリキッド煙草を吸う場面
自らの死への引き留めを図る行為ではあるが、Ice Cube『It Was A Good Day』をユニゾンした後なので、バディ感が溢れ、その小道具としての煙草の存在が効いている
感想
エリザベス一世を「手強かった」、スターリンを「クズ」、キリストを「皮肉屋」と喝破する歴戦の猛者である『デス』が、どうして今回ばかり、チューズデーの死を猶予してあげたのか? その動機付けが弱い気もするが、今作の主眼は「猶予した、その先」なので目を瞑って、その後のファンタジーに身を委ねれば良い。
「鬼オナニーしてる時」くらいしか生きてる気がしないと言っていたチューズデーが、母親との乾いた関係性を癒していく過程も、看病疲れの日々から、ようやく娘の死に直面して、正気を失う母親もどちらも素晴らしい演技。
死が近い人間にはハエがたかるようになるというベルゼブブ表現は、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のディカプリオで見た。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生 (ハヤカワ文庫NF)
途中から、「これは娘の死で終わらせるわけには、いかんだろうなぁ」と思っていたが、舞い戻った『デス』と母親のやりとり、
「来世がないなら何のために生きてるの? 極秘事項だろうけど」
「神はいない。お前たちが考えるような神はな。だが、来世はある。お前のこれからの生き方があの子を生かすことになる」
とご丁寧に死の乗り越え方まで指南してくれて、挙句、母親が
「立ち上がらなきゃ」
で終わる本作のメッセージはベタベタで。
でもベタベタで何が悪いんすか、と思わせてくれる映画でした。