2022年/アメリカ/英語/104分
あらすじ
幸せな一日になるはずだったクリスマス・イブのその日、ギャング同士の銃撃戦に巻き込まれた男は、目の前で愛する我が子の命を奪われる。自らも重症をを負った男は、なんとか一命をとりとめたものの声帯を損傷。絶望を叫ぶ声すらも失ってしまう。声なき男の悲しみはやがて憎悪へと変わり、悪党どもへの復讐を決意するのであった。ギャング壊滅の日は次の12月24日。聖なる夜に、誰も誰も観たことのない壮絶な復讐劇が幕を開ける。
出典:『サイレントナイト』株式会社クロックワークス
煙草シーン
主人公の仇敵であるギャングの手下が煙草を吸う
口元がアップになり、ギャングの頭目の
「このヤロウを殺せ」
という指示が下る場面
煙草シーンの役割
ギャング
の悪っぽさを強調するための道具立てとしては、煙草よりもドラッグが有効
なので、悪者の雑魚が煙草吸いがち
ベスト煙草シーン
ギャング団の手下しか吸ってないから、そのシーン
選択肢なし
感想
ジョン・ウーの自前のプロダクションが、
BETTER TOMORROW FILMS
という名であることをクレジットで知る。
当然ながらジョン・ウー不世出の傑作『男たちの挽歌』の名を冠しているわけだ。
スタローンの製作会社も、BALBOA PRODUCTION という名付け方なので、自身の思い入れを反映させるのは別にいいと思うんだが、なんか作品の内容まで自身のエピゴーネンと化すのは悲しい。
『サイレントナイト』は、過去の亡霊と闘う気すらない、エピゴーネンに徹した作品と見えてしまう。
オルゴール、風船、ロングコート、スローモーション、鳥(鳩ではなかった)、二丁拳銃、友情のダブルクロス…
かつてジョン・ウー作品を彩ったピースがふんだんに散りばめられている。
いいのか?いいんだよ。
それは、美しきジョン・ウーの幻影である。
割り切って見ましょう。
割り切ってみれば、そんなに悪くない。
子どもを奪われて、声を失くす主人公。
声を奪ったのは、サクサクストーリーを進行させるためだけの道具立てなのか。
亡くなった子どもに声をよく聞かせていた
とか、
失声する前は饒舌だった
とか、
声紋を利用した仕掛けがある
とか、
なんか、もちょっと無かったのか?
トレーニングシーンは、声が無い分、黙々感に孤独感が重なって盛り上がるのかなぁ、と思うとさしてあがらない。
ギャング団の非道っぷりをカットバックして盛り上げるとか出来なかったのか?
ラス前、実はギャング壊滅の為に綿密な調査をしていたことが、ギャング対策班の刑事に渡すUSBの内容で分かる、というちょっとしたサプライズがあるのだが、
こういう地道なリサーチを黙々とこなす主人公の動きを丁寧に追った方が、大して信頼関係も築いていない刑事に情報を渡すよりも、面白い流れになったのではないか?
など、いろいろ思う。
思わざるを得ない。
しかし、普通に、普通には面白い。
アマプラとかで、たまたま見つけた映画だったら、結構満足すると思う。
ただ、問題は『サイレントナイト』の監督はジョン・ウーである。
その一点。
でも、撮ってくれて、劇場で見られるだけで御の字という気分にもなる。
期待値高くして、劇場に行ける監督がいる、そのことに感謝せねばならない。
『サイレントナイト』は、ちょっとアレだっただけだ。
繰り返すが、
割り切って観て欲しい。
そうすれば、みんなしあわせ。