2024年/アメリカ・イギリス/英語・伊語/120分
あらすじ
全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派、カトリック協会。
その最高指導者にしてバチカン市国の元首であるローマ教皇が、死去した。
悲しみに暮れる暇もなく、ローレンス枢機卿は新教皇を決める教皇選挙<コンクラーベ>を執り仕切ることに。
世界各国から100人を超える強力な候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の扉の向こうで極秘の投票が始まった。
票が割れるなか、水面下で蠢く陰謀、差別、スキャンダルの数々にローレンスの苦悩は深まっていく。
そして新教皇誕生を目前に、厳戒態勢下のバチカンを揺るがす大事件が勃発するのだった・・・・・・。出典:映画『教皇選挙』公式サイト
煙草シーン
数シーン
のちに感想でも触れるが、厳かな映画かと思えば、ゴリゴリにエンタメなヤクザ映画なので、登場人物の数人が喫煙する。この映画に登場するのは、ほぼ各国の枢機卿なので彼らが吸っていることになる
特に、保守派イタリア人枢機卿のテデスコは、食堂でもコンクラーベの場でも、電子タバコから紙巻き、あと多分葉巻っぽいのもガンガン吸うので、ほとんどヤクザ
あと、コンクラーベのセッティングの待ち時間に、仲間同士だべって広場で吸っているのは、ほとんどパチンコ開店待ち
地面に溜まった吸い殻が大写しになるシーンもあり、露悪的
唯一の例外として、コンクラーベ警備にあたる警察らしき人物の喫煙も確認できる(アウトフォーカス)
煙草シーンの役割
聖職者が喫煙する、ということのスキャンダラスな側面を示すのは本作の本旨の一端でしかなく、生臭坊主大行進なので、喫煙シーンの役割としては、一般的な意味合いである 暇つぶし、焦り、悪役描写の強化 となる
ベスト煙草シーン
前記の通り普遍的な喫煙シーンが多いが、リベラル派の枢機卿が屋根裏で集まってタバコを吸うシーンでは、表立っては喫煙しない枢機卿が、自身のグループが窮地に陥っていることに苛立って喫煙する
ここで発せられる
「われわれは、理想に仕える身で、理想そのものではない」
という聖職者の本質を表す台詞と併せて、もっともエモい喫煙シーンになってはいる
感想
同胞でかたまり、未成年を孕ませ、票を買収し、タバコを吸い、飯をかっ食らい、太り過ぎて法衣を破く
ような「つまらぬ集団」の聖職者たちの権力争いを描くが、数日間のコンクラーベのみを描く訳で、権謀術数渦巻く、というほどの広がりはない。
ドンパチの無いヤクザ映画という意味で(爆破や流血はある)、もっとも肌合いが近いのは、『仁義なき戦い 代理戦争』。
「多様性を認め、一致と確信を疑え」
と解くリベラル派に対し、
「リベラルの相対主義が宗教戦争を招いた」
と喚く保守派
が描かれ、現代における宗教が持つ意味について少しは考えさせられるが、現在のバチカンの思想はド保守のようなので、今作のオチはファンタジーの類になるのだろう。
偶像破壊して、挙句しっかり理想も提示してくれるので、大変立派なエンタメになっていた。ただ、類型を随所に感じるので、立派だがすっごい面白いとまでは感じなかった。
新教皇が「インノケンティウス」を名乗るので、特別な聖人なのかと検索したが、何人もいてよくわからなかった。
コンクラーベが、日本語の「根比べ」に似ており、またその意味合いも重なるということは誰もが指摘すると思うが、その昔、裕木奈江と赤井英和がエランドール賞の授与式に出席した際、赤井が
「ほら、見てみ。エランドールを選んどおる!」
と呟き裕木を笑わせたエピソードに触れておきたい。
歴史アドベンチャー ローマ教皇とバチカン 2000年の謎 (TJMOOK)