こちらでは、喫茶店にまつわるデータをご紹介します。
ああ、そうか。
そうだったのかー。
ってなりました。少なくとも、私は。ね。
喫茶店の定義
そも論、「喫茶店」という呼称は何を指すのだろうか。それは、
主としてコーヒー、紅茶、清涼飲料などの飲料や簡易な食事など をその場所で飲食させる事業所のこと
(総務省統計局の分類のうち、産業大分類「宿泊業,飲食サービス業」 のうち産業中分類「飲食店」-産業小分類「喫茶店」が該当)
この定義では、提供する食事は「簡易」とされている。
喫茶店定番の、トーストやナポリタン、ケーキなどは「簡易」と言って差し支えないように思うが、カツカレーとかカキフライカレーとかは、「簡易」なのか。チキンカツカレーうどんとか。どうなのか。
簡易の反語が「煩雑」だとすれば、肉じゃがとか出してしまうと、「肉じゃがって難しいよね」って声をよく聞いたり聞かなかったりするので、必ずしも「簡易」の範疇に収まりきらないように思われる。じゃがいもに隠し包丁とか入れだした日には、もう。それは。肉じゃがを出す店は、喫茶店というより「おふくろの味」というカテゴリーに入れねばならない。
また、
「その場で飲食させる」という部分に着目すれば、テイクアウト専門店は、喫茶店ではない。しかし、フードトラック的な店舗でも、簡易的なベンチなんかを備えているような店ならば、「その場で飲食」という定義に適うので、すんでのところで、喫茶店たり得るのだろう。でも、ウーバーオンリーとかは、駄目。そも論、ウーバーでホットコーヒーとか運ばせちゃ駄目。もし、こぼれてても頼んだ奴が駄目。
喫茶店の数
2021年 ※1
事業所数は
58,669
従業者数は
307,693
ということは、割ることのぉ、一店舗あたり5人勤めていることになる。
そんなに人数割いている店ほとんど見ないけど。これは、やはりチェーン店基準が平均値を引き上げているのだろう。
なお、「喫茶店の数は 1981 年をピークに減少の一途に」あり、 最盛期には、全国に154,630事業所数、575,768従業者数を数えていたそうで、10万店が姿を消したことになる。
喫茶店の数(都道府県別)
2021年 ※2
1 大阪府 6,758
2 愛知県 6,171
3 東京都 6,121
4 兵庫県 4,038
5 岐阜県 2,393
6 神奈川県 2,287
7 北海道 2,188
8 京都府 1,940
9 福岡県 1,668
10 埼玉県 1,644
・
24 石川県・滋賀県 636
・
47 秋田県 235
ベスト10には、名だたるビッグシティが顔を揃えているが、どう考えても場違いにランクインしているのが岐阜県。ホントに失礼だが、岐阜が入ってくるランキングなんて他にありますか。もう、ホントに失礼ね。
合掌作りがいっぱいあるランキングとか、下呂温泉がたんまりあるランキングにしか入って来ないはずだ、岐阜。喫茶店ブログをやるんなら岐阜でやったほうが絶対良い。岐阜こそ、日本の喫茶店の聖地と考えて差し支えなし。
ちなみに、みんな大好きスターバックスは、岐阜に何店舗展開しているのか?
たったの26。東京には411店もあるのに。何をやってるんだスタバ、という気がしなくもない。ただ、裏を返せばチェーン展開の喫茶店よりも、個人経営の店舗が圧倒的に多いということになろう。恐るべき岐阜の喫茶文化。喫茶以外に、岐阜が入ってくるランキングなんて他にありますか。すっごい、失礼。
羨ましいぞ、岐阜。
喫茶店の利用度(都道府県別)
2021-22年 ※2
都道府県別 一店舗当たりの人口
1 高知県 831
2 岐阜県 834
3 和歌山県 981
4 香川県 1,217
5 愛知県 1,220
6 京都府 1,295
7 大阪府 1,302
8 兵庫県 1,359
9 福井県 1,398
10 三重県 1,473
・
14 石川県 1,768
・
47 茨城県 4,817
これは単純に、各都市の人口を、各都市の喫茶店数で割った値。
その値は、1店舗あたりの人口となる。
1店舗当たりの人口が少ない県は、住民の喫茶店利用度が高い。と、推察されることからのランキング。
ここでも意外な県、高知県が首位を獲得しているわけだが、2位に輝いたのは、やはり岐阜。だが、その差は僅かであり、しかも高知県の喫茶店数は、834にとどまっていることを鑑みれば、喫茶店数2,393を誇る岐阜県が、実質トップといってしまって良いのではないか。
また、1店舗あたりの人口で喫茶店利用度を測るこのランキングでは、就業人口と居住人口(実際人口)の差が大きい都市、あるいは昼間人口と夜間人口の差が大きい都市、などは値が大きく出る可能性も高いので、東京都や神奈川県がランクインしない理由でもあろうし、最下位の茨城県も首都圏のベッドタウンにあたる地域であろうから、この値を「各都市の喫茶店利用度」とするのは正確さを欠くやもしれない。
でも、岐阜は別格。あんたがトップオブトップ。
喫茶店への支出額(都道府県別)
2022-24年 平均 ※3
1 岐阜市 14,750
2 名古屋市 14,148
3 東京都区部 13,605
4 さいたま市 12,604
5 横浜市 11,757
6 川崎市 11,593
7 千葉市 11,267
8 京都市 10,345
9 神戸市 10,159
10 奈良市 10,058
・
14 金沢市 9,140
全国平均 8,829円
前出の都道府県別調査と異なり、県庁所在市+政令指定都市ごとのデータを集計している総務省統計局の家計調査で、1世帯当たりの品目別年間支出金額における「喫茶代」のランキング。
どうだろうか。
とんでもない。そう、とんでもないのは岐阜である。
東京も神奈川も、名古屋も京都も、岐阜の後塵を拝している。岐阜がとびっきりのフロントランナーの分野が、この世にひとつ。
それは、喫茶だ。
岐阜人の身体は、ナポリタンとパフェとコーヒーで出来ている。
喫茶店の経営組織別 割合
2014年 ※4
法人(チェーン店)
24.0% 16,812
個人経営
75.8% 53,031
民営の喫茶店事業所数 69,977 (2014年) のうち、3/4は個人店。
素晴らしい。
もちろん、スタバコメダドトールも素晴らしい。しかし、個人経営の店舗は全国に5万店以上残っている。素晴らしいよね。
喫茶店自体は微減傾向ではあるが、チェーン店は増加、個人店は減少気味。
ただ、私にはまだ5万店の個別固有の喫茶店が待っている。
もう、スタバコメダドトール行ってる場合じゃない。行くけど。
喫茶店の経営組織別 割合(各都市別)
2014年 ※4
法人(チェーン店)が多い都市
1 川崎市 57.9%
2 横浜市 56.4%
2 千葉市 56.4%
4 東京都特別区部 55.2%
5 仙台市 46.2%
個人経営が多い都市
1 和歌山市 86.8%
2 堺市 86.5%
3 高知市 86.4%
4 福井市 85.5%
5 岐阜市 84.8%
やはり大都市圏では、喫茶店の半数以上が、スタバコメダドトールとか、エクセル星乃サンマルクタリーズベローチェブルーボトルルノアールとか、諸々なのである。
チェーン店かぁ… 行くけど。
に比して、和歌山、堺、高知、福井、そして岐阜。全っ然、チェーン展開が追いついていない。まだまだ、味のあるマスターやマダムに会える余地がたっぷり残されている。
喫茶店を巡る
その楽しみと滋味はいまだ眼前にひろがっている。
そして、岐阜は偉大。
※1 全日本コーヒー協会 調査データ 喫茶店の事業所数及び従業員数
https://coffee.ajca.or.jp/pdf/data-jigyosho-jyugyoin2021.pdf
※2 全日本コーヒー協会 調査データ 都道府県別 喫茶店数・一店舗当たりの人口
https://coffee.ajca.or.jp/pdf/data-kenbetsu-tenpo20230907.pdf
※3 家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング> 外食
都道府県庁所在市以外の政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、及び北九州市)
(2022年〜2024年 平均)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
※4 総務省 統計トピックスNo.95 経済センサスからわかる日本の「いま」
II.喫茶店の「いま」
https://www.stat.go.jp/data/e-census/topics/pdf/topics95_2.pdf