金沢 なるべく吸える喫茶店

吸えたら良いけれど吸えない時もあるから飲めたら満足です

ウエストコースト「イヤです。ウソです」

喉の渇きを癒したいとき、足の疲労が臨海に達したとき、しのつく雨をしのぎたいとき、買ったばかりの文庫本を開きたいとき、そして、紫煙をくゆらすひと時を過ごしたいとき。 路傍に佇む喫茶店の門をくぐる。 なるべくならば、煙草の似合う、そんな店がいい。

 

<本日のサ店>

エストコースト

外観

内装

メニュー

トイレ

モカミント ¥650

ここより下は、当ブログ執筆者の身辺雑記をふんだんに含んだ、取るに足らないとしか言いようのない雑文雑記ですので、お店の基本データのみを知りたい方は、上記目次より各項目をクリックし、あなたが必要とする情報を摂取したのち、早々に離脱することをお勧めします。バイバイ!

 

暗渠や暗橋を辿る行為が、人心の興味を引くのは、地下に封じ込められた生活の面影、その上を踏みつけながら築かれた新しい層、スクラップアンドビルドでゼロにして、うわものがすげ変わることでは、面影すら匂わなくなるが、暗渠化ではほのかに香ってくる、その可視化できそうな(一部は可視化できる)生活層への憧憬にあると思う。

金沢は、「用水の町」と呼ばれるほど、生活用水としての機能はほとんど失われている用水路をたんまり残している。
観光スポットとして知られる長町武家屋敷跡のそばを流れる鞍月用水は、景観を優先し、あえて開渠化されており、せせらぎ通りをそぞろ歩きする観光客にとって一服の清涼剤となっている。

というのは、一面。
普段、生活道路としてせせらぎ通りを利用する市民としては、用水の分道幅が狭くなり、往来困難な通りとなっている。
せめて、車輌の通行を制限するような処置をとらないと、安心して誰もが歩けるような道路にはなっていない。

あと、金沢市は年末年始や桜の開花時期、お盆などの行楽シーズンに、兼六園の無料開放という施策を行うのだが、これなどむしろ逆で、観光需要が大きく見込める時期こそ旅行者から有料徴収をバシバシして、普段市民に対しては無料とするのが正しいあり方なのではないか、と常々思っている。
無料期間だけ、入場者が増えるというのは、無料にする時期があるからであり、ミスドの「100円セール」の弊害、に似た状況を産んでいるのではないか?と考える。
オーバーツーリズムを危惧するほど、金沢は京都のようなギッチギチの観光地ではないが、仮にオフシーズンに無料で入園できれば、市民の兼六園への来園回数は増え、愛着が深まるだろうし、行楽シーズン外で金沢を訪れてくれた旅行者も、「次は、金払って花見に来よう」とリピートにつながるのではないか。

といったような、市政への疑問を語り出すと、この先12万字続くので、さっさと本題に入りたい。
茶店に入りたい。

 

せせらぎ通りを片町から玉川図書館の方向へ進む。
鞍月用水にかかる色褪せた碧色の手すり付きの小橋を渡るその先、窓の大きな洋館みたいな建物。

「ウエストコースト」

カモメが描かれた看板に火が灯っているのを見た記憶がある。

 

扉を開けて、すぐ左手に「ご予約席」のプレートが置かれ、モニターのあるテーブル。そのままの動線上にカウンターがあり、中には中平卓馬を思わせるニット帽にマスク姿の、山男には惚れるなよ〜、な出立のマスターが。
入口そばには、ハンフリー・ボガードのポスターが立てかけられている。

 

「一人、いいですか?」

「どうぞ〜」

 

カウンター席には、資料を広げ捲りながらレポート用紙とにらめっこしている大学生っぽい女性が、スマホに繋いだイヤホンを耳に押し込みながら、課題?だろうか、格闘中。
チラッと私の方を一瞥されて、スマホの音量を上げた気がする。
申し訳ない。

奥には、大型のスピーカーが埋め込まれた壁に沿って席が設けられており、左奥の席に入口側を眺める形で座る。

一枚もののメニューは、ぎっしり文字が詰まったお品書きとなっていて、喜ばしい悩みの時間。

水を持ってきてくれたマスターに、

 

「タバコ大丈夫ですか?」

「どうぞ」

 

つー訳で、「ウエストコースト」は

喫煙可


モカミントを注文し、メニューをしげしげ読んでいると、

SINCE 1982

の記載。
こちら50年以上のお店である。


せせらぎ通りから差し込む春の陽光がシェード越しに店内を灯す。
店内の照明は最低限で、店の奥にいる私は、薄闇に沈みこむ。

 

私のオーダーの前に、勉学中の女性にサンドイッチを差し出すマスター。

「あい」

「どうも」

最低限の対話で成り立つコミュニケーション。
これは、完全に常連の振る舞い。
こういう場所でレポートを手書きしている学生を見ると、時間が90年代あたりに戻ったようである。

 

モカミントのねっとりとしたバニラアイスに舌鼓を打っていると、三人組の女性が入店。

「いいねー」

「こんな店あるんだねー」

「よきよき」

これは、かしまし娘たちやないかい。
いいね。素晴らしいBGMになりそう。

 

「パフェ!ある!」

「でも、ウォッカ入ってる!」

「でもでも、太るー!」

とかなり悩んでいたかしまし娘たちであったが、結局冷コー3つに、チョコレートパフェをシェアすることにしたようだ。

「あれがさぁ、なんでも仕方ない仕方ないで済ませるじゃん?」

「ああー、それめっちゃ気になる!」

「この世に仕方ないことなんて一個もないから!」

「わかるー」

という彼女らの職場の愚痴を聞きながら飲むモカミントは格別であった。

 

 

「ウエストコースト」は先ほど確認したように確かに喫煙可。
しかし、この距離感で、かしまし娘たちの横で吸うべきだろうか。
関係ねーよ。吸っていい場所なんだから。
とは思うが…
一応、聞いてみることにする。

 

「すいません。タバコ吸いますけど、いいですか?」

「イヤです」

「ああ…」

「ウソです(笑)。ここ吸っていいんでしょ。どうぞ、だいじょぶですよ。好きなだけ(笑)」

 

聞かなきゃよかったなぁ。
大体が、うら若い女性にとって、くっさいジジイから話しかけられること自体がセクハラである。
イヤです→ウソですムーブの、イヤとウソの間の2秒間が8時間くらいに感じられた。
慣れないことはしてはいけない。

 

途中、トイレを借りたのだが、トイレがカウンター席で勉強中の女性の真後ろにあり、扉も薄いので、括約筋をローにローにコントロールして、なるべく音を立てないように放尿。

学生時代、恋人的な異性のアパートに行った時に実施したストイックな放尿スタイルを久しぶりに実行した。

 

席に戻ると、私の真横に新たな女性二人組が着席しており、これ以上喫煙しながら居座ることを断念。
退店の時間です。お会計。

 

「こちら、営業時間は…」

「お昼から、夕方まで」

「夜は何時ごろまで?」

「6時ごろかな。コロナ前は夜中までやってたんだけどね」

「わかりました。ごちそうさまでした」

「ありっした」

 

入口のカモメが光っているのを見たのは、コロナ前だったか。

一気に客足が伸び、ワンオペのマスターは忙しそうだ。
私も学生だったなら、こんな喫茶店で試験勉強でもしてみたかった。
また、マスターと話が出来るタイミングで来たい。
ありっした!

 

google MAP

所在地

金沢市香林坊2ー12ー33

営業時間

12:00〜18:00

定休日

未確認

席数

カウンター x 5
テーブル x 2 取り囲むように14席

電源

未確認

Wi-Fi

未確認

SNS

なし

店内BGM

harry connick,jr.『one last pitch』
harry connick,jr. trio『lonely side』

トイレ

和式

喫煙の可否

喫煙可