金沢 なるべく吸える喫茶店

吸えたら良いけれど吸えない時もあるから飲めたら満足です

喫茶 展望「もう、どこでも吸えません」

喉の渇きを癒したいとき、足の疲労が臨海に達したとき、しのつく雨をしのぎたいとき、買ったばかりの文庫本を開きたいとき、そして、紫煙をくゆらすひと時を過ごしたいとき。 路傍に佇む喫茶店の門をくぐる。 なるべくならば、煙草の似合う、そんな店がいい。


<本日のサ店>
展望

外観

内装
メニュー

金箔珈琲 輪島塗セット ¥900

ここより下は、当ブログ執筆者の身辺雑記をふんだんに含んだ、取るに足らないとしか言いようのない雑文雑記ですので、お店の基本データのみを知りたい方は、上記目次より各項目をクリックし、あなたが必要とする情報を摂取したのち、早々に離脱することをお勧めします。バイバイ!

さて、冬の装いだが、概ね皆暗い色を着ている。
金沢には、外国人観光客も多く訪れているが、確実に日本人たちよりは明るい色を好んで着ているように見える。黒か白かグレーを身に纏っていれば安パイ。しかし、地味な色を着続ける安パイを保っていれば、人生丸ごと安パイになる訳ではない、というのが急峻な人生の道程である。

美輪明宏が、「日本の冬の光景は地味すぎる」「黒か紺ばっかり」と言い、明るい色の衣服を着ることで、自身のテンションを上げていく重要性を、日本人の衣服の色彩に対する保守性に絡めて批判しているのを聞いたことがある。

確かに、黒やグレーに限定せずとも、いかにも良品計画が出してそうな範囲の色味で、特に冬場は過ごしかちで。私自身も反省しきり。
しかし、一定の年齢を過ぎると、古着を着るとホームレスっぽくなったりするように、真っ黄色のジャケットを着るとパッパラパーに見えてしまうのではないか?と危惧してしまう私がいる。
ただ、基本的には「誰もお前なんか見ていない」という意識を明確にせねばならない。「お前の格好なんて誰も興味ない」という紛れもない事実に向き合わねばならない。

川上未映子が著書で「おしゃれ」と「おめかし」の違いを、
「おしゃれは、他人の目を気にするファッション」
「おめかしは、自分が自分をアゲるための自己満足」
と規定していたが、そうなのだろう。


おめかしの引力 (朝日文庫)

冬こそ、目がチカチカするような色味の服を着るべき。
雪に埋もれてても発見しやすいし。雪に埋もれてたら黒でも発見しやすいが。
そう思って、黒のジャケットを大量に捨てたら、冬場に着るものがなくなってしまったので、無駄に厚着することで寒さを凌いでいる、そんな今冬。


この間市役所内の喫茶店に行く機会があったので、今度は県庁だ。つんで、誰が言ってんだつう話ですが、県庁近くの病院にいる知人を見舞った後で石川県庁へ。

kanazawa-drifter.net

 

石川県庁は、20年ほど前に広坂から現在の鞍月へ移転。
正直、金沢市内の南部に住んでいると、ほとんど駅西の方へ行くことはない。

昔、東京荻窪北口側の教会通りに住んでいたが、ほとんど北口側で事足りてしまい、南口側へは『徳大』へチャーハン食いに行く時しか行かなかった。鉄路を境に生活圏が区分けされることはよくあるのだろう。ちなみに、教会通りにあった『フェリスフー』というカレー屋は、マスターが若くして亡くなられ閉じてしまったが、今でも時折思い出す旨さであった。
今になって思い出す東京のことは、ほとんどが旨かった店ばかり。あとは挫折。
挫折を味わったあとの旨かった店もよく覚えている。挫折も旨メシも味わう、それが東京。
こうして、金沢で喫茶店を巡っていることも、良い思い出になるだろうか。
なればいいのに、と思う。

 

 

石川県庁まであと2分

石川県庁まであと20歩

石川県庁に入って2歩

石川県庁に入って40歩のところにあるトキ

エレベーターを探すこと20秒

乗ります

守られます

目指すは19階です

県庁の最上階には、展望ロビーがあるようです。
百貨店の最上階には、たいてい遊園地ゾーンがあるようです。
今回訪れる「喫茶 展望」は展望ロビー内にあるようです。
展望ロビー内の「展望」という入れ子構造になっているようです。


19階からの眺めということで、すっごいすっごいではない。
もっと高いところから見てえなぁ、と一瞬感じましたが、県庁が60階建てスカイスクレーパーとかだったら、それはそれで納税者の視点では腹立たしいので、これぐらいでいいでしょう。


県庁模型や、石川県観光PRキャラクター「ひゃくまんさん」もあり。
これからは、ひゃくまんさんくらい派手な格好をしていくと誓う。

高いところで黄昏ている人だけが見せる哀愁

 

展望ロビーの片隅に仕切られた空間が「喫茶 展望」のスペース。

この状況だけを捉えると、「展望」というより「一隅」。

入ってレジが右側にあり、その向かいには石川県産グッズ的なものが並ぶ。


正面の展望ゾーンにカウンター席。その他、丸テーブルと角テーブルが。四角いスコップはカクスコですが、角テーブルは、カクテブと略すのでしょうか。

展望席の一つが二人席のカップルシートになっていて、先客あり。
おひとりだけど、単独着席してはならない、というものでもないだろう。


角席に座り、メニュー検討に入る。

とても充実しているが、石川臭の強い商品を選ぶ。


「金箔珈琲」
である。
名古屋人はなんでもかんでも味噌入れる
のような偏見を金沢に当てはめると、
金沢人はなんでもかんでも金箔入れる

金箔珈琲という呼称が一般名詞として定着しているとは思えないのだが、仏壇に貼る以外にはコーヒーに入れるくらいしかないのだろう。
あと、ソフトクリームね。


金箔を添付することで、ソフトクリームの価格が一気に3桁になるという金箔マジックを是非金沢に来た際には堪能していただきたいものだ。正直、地元民はこのような行為を恥じている。どうかしている。


漆黒のコーヒーの表面に浮かぶ金箔が映える。

スプーンの方に金箔がまとわりついちゃうのは困る。
なんとなく損した感じがする。

そして、私はコーヒーをブラックで飲むことなど今後の余生においても絶無なので、ミルクを加える。

すると、ベースが黒からベージュに移行するので、金箔が俄然目立たなくなってしまい、風呂に浮いた湯垢みたくなるので、オススメできない。


黒に白にベージュという日本人の冬の装いみたいなコーヒー関連色だが、ワンポイントで金を差しても、派手は地味に飲み込まれてしまうので、派手な色味をベースにしていこう!と思わせる体験であった。


生チョコも付いてくる。
付いてくるというか、セットでその分のお代も払っているのだから当然といえば当然である。


カップやソーサーは輪島塗。
ただ、やっぱりカップはある程度の重さがある方が飲みやすい。

 

私は自転車に乗る際にはVANSのスリッポンを愛用している。ここ最近、軽量ソールのスリッポンも発売されているのだが、履き比べた結果、やはりオーセンティックなスリッポンの重量感がしっくり来る。問題は、履き比べた場所がABCマートではなく、両方買った自宅だったので、結局軽量ソールのスリッポンも買ってしまったことである。
軽い方のスリッポンはほったらかしなので、誰か欲しい人は連絡してください。一度履いただけの美品です。28.5センチです。

 


それから、どうしてもカップの底に金箔が残ります。

缶のコーンポタージュの底に残った粒コーンは、極力一粒残さず食べる努力をする派ですが金箔珈琲のカップの底に残った金箔は無視します。

ただ、非常に美味しかった。
ブルーマウンテンが私の好みなのかも知れない。
もしくは、(こちらの可能性が高いが)「金箔分払ってんだから、美味くなきゃおかしい」という間違ったバイアスが働いているのかも知れない。


店内には、ひな飾りや郷土本も置かれており、展望を堪能したあともゆったり過ごせそうである。

 

会計の際にマダムにお話を伺うと、展示品は季節によって変わることもあるらしいので、楽しみである。

そして、大事なことを聞き忘れていた。

「こちらは当然禁煙ですよね?」

「そうです」

「県庁内に喫煙所とかあります?」

「いえ、建物内にも、敷地内にも、無いんです。ごめんなさい」

「いえいえ、時代ですね」

「もう、どこでも吸えませんよね」

 

というわけで、今更感アリアリの、展望は

吸っちゃダメ

 

「喫茶 展望」では只今アルバイト募集中。
コーヒーに金箔をぶっかける仕事に就くチャンス。

それから、ショップカードがあったのでいただく。
これを貰う際に、スッと「ショップカード」という単語が出てきて、自分で自分に驚かされた。ショップカードって単語を口にしたの、人生で初めてかも知れない。
金箔珈琲も初めて飲んだし。今日は、人生の初めてをいくつも経験できた良き日であった。

もう一度、「喫茶 展望」で金箔珈琲を飲むのも悪くない。

google MAP

所在地

金沢市鞍月1ー1 石川県庁19階

営業時間

10:00~17:30

定休日

なし

席数

展望席 x 8
テーブル x 7

電源

なし

Wi-Fi

なし

SNS

https://www.instagram.com/kissatenbo/

店内BGM

石川テレビ(フジテレビ系列)

トイレ

庁内にあり

喫煙の可否

吸っちゃダメ