喉の渇きを癒したいとき、足の疲労が臨海に達したとき、しのつく雨をしのぎたいとき、買ったばかりの文庫本を開きたいとき、そして、紫煙をくゆらすひと時を過ごしたいとき。 路傍に佇む喫茶店の門をくぐる。 なるべくならば、煙草の似合う、そんな店がいい。
<本日のサ店>
みち


ここより下は、当ブログ執筆者の身辺雑記をふんだんに含んだ、取るに足らないとしか言いようのない雑文雑記ですので、お店の基本データのみを知りたい方は、上記目次より各項目をクリックし、あなたが必要とする情報を摂取したのち、早々に離脱することをお勧めします。バイバイ!
散る桜残る桜も散る桜
なる言葉を覚えたのは、松方版『遠山の金さん』だったように思う。
同じ東映映画ファンでも、鶴田浩二で同じ言葉を覚えると「特攻」とつながり、松方弘樹で覚えると「刺青」とつながる。という乖離がある。
特別名勝 兼六園あたりの桜も最盛期を迎えつつあり、私などは「さっさと散っちまえ桜」という気分だが、大体みんな桜が好きそうだ。艶やかさと裏腹の散る潔さが桜の魅力なのだろうか。そういう意味では、「chill」味が強いというか、桜のもたらすチル感に皆惹かれておるのだろうか。
chill桜残る桜もチル桜
いつもながら内容の無い前口上から始まりました。
この時期の兼六園には近づきたくないですが、野暮用があり付近を通ることになり。
「ここにも喫茶店あったのか!」
な、お店に入店することに。
兼六園下交差点から兼六大通りを田井町方面へ東に行くと、
ティーポットが印象的な看板が見えてくる。
「Michi みち」
入店すると、すぐに生花の入ったショーケースがあり、奥に進むと右手に調理場、さらに奥には雑貨類を販売しているスペースが広がる。
「喫茶スペースはあまりないのかな?」
と思い、入口近くのテーブル席を指し、
「ここでもいいですか?」
とマダムに聞くと、
「奥にもありますよ」
とのこと。
店内左側を進むと大テーブルと、四人掛けの席があり、小さい方のテーブル席に座らせていただく。
大テーブルには、先客のご婦人がいらしてスマホとにらめっこしている。


フルーツ押しのメニューを検討した結果、
「季節のジュース」
と、
「フルーツティー」
で迷いつつ、「フルーツティー」の但し書き、
「アロマポットの中にお紅茶とフルーツが入ってます」
との文言に惹かれ、そちらをお願いする。
テーブルまわりを見渡すと、最後通告めいた貼り紙が。
終了である。
しかし、下部をよく読むと、
「お煙草を吸われる方は店外のテーブル席にて何卒よろしくお願い申し上げます」
大阪で仕事していた頃に、ことあるごとに「なにとぞなにとぞ」と連呼する取引先のジジイがいて大嫌いだったのを思い出す。「何卒じゃねーよ、クソが」と面と向かって言えていたら、言えるようなメンタルを持ち合わせていたら、私の人生も豊かになっていただろう。
しかし、本来は謙遜しながら要求を伝えるクリシェであるのだから、「みち」さんの用いる「何卒」には罪はない。
「ちょっと作っていただいてる間、外でタバコ吸わせてもらっていいですか?」
「はい、どうぞー」
エプロン姿のお若いマダムに告げ、テラス席へ。
喫煙成功。
なので、「みち」は
限定的喫煙可
テラスで飲食すれば、吸いながら食事も可能なのだろう。
が、私もなるべく吸いたいだけなので、固執しない。
店内の豊富な品揃えを象徴するように、ひとつの灰皿はバッタ仕様。
店内に戻ると、ほどなく「フルーツティー」が提供された。
「三杯分入ってますので、冷めたらコチラで温められてください。飲み終えましたら、トングでフルーツを取り出してお召し上がりください」
「わぁ、すごい。ありがとうございます」
730円で三杯分あって、フルーツも余すところなく頂けるのならお得じゃなかろーか。
思わず「すごっ」って口に出た。
これは所謂、土瓶蒸し的な食し方。
つい5年前あたり、宴席で土瓶蒸しが提供されて、その食い方を知らなかったのは内緒だ。漫然と生きていると人はまったく成長というものを知らない。
マダムは店内で陳列の整理などをこなしながら、先だっていらしていたご常連さんに声をかけている。
「〇〇さん! にゃんこカードケース見ました?」
「…うん?」
「新色4色出ましたんで!」
「えっ…?」
「にゃんこの、カードの」
「ああ、今ね。写真の整理をね」
「忙しかったんですね(笑)」
「もう、桜の写真撮り過ぎちゃって、どれ送ろうかな?って」
「ねぇ、いよいよ満開近いですもんね。兼六園も行かれました?」
「いや、あそこはねぇ。人だらけだからねぇ」
桜はチルだが、人混みはカスだ。
ほのかに香る果実の薫りを堪能し、いよいよ土瓶蒸しの真骨頂。
ティーポットの中のフルーツをいただく。
途端、利きフルーツの世界に突入する。
林檎に、バナナ、パイナップル…
この、シマチョウみたいなのはなんだろうか?
利きフルーツァーとしては敗北である。
食ってみても、シマチョウとしか思えない。
フルーツシマチョウティーを頼んだ訳ではないので、多分シマチョウではないのだろう。
いやー、大変満足であった。
テーブルには、「カフェ利用 90分制」との注意書きがあるが、これぐらいのボリュームのメニューを提供してもらえるのなら、あっという間に1時間半ばかし長居してしまいそうだ。
店内の雑貨も拝見させていただく。




文具や装飾品、食器から、もちろん新色登場のにゃんこカードケース。
奥には衣類系もある。
無粋な私が手にするような物品はなかったが、「みち」でお茶しつつ、ちょっとしたお土産品を求めるのも一興だろう。
観光地でよく見かけるタイプの「お好きな文字を印字できます」な、オリジナルカップもあった。
何を印字するのが、気の利いた人物なのだろうか?
こういったサービスには、正解がないような気がする。
私なら、「ニューヨークメッツ」とかひらがなで書いたのを貰いたい。
ような気もする。
ごちそうさまでした。
会計時に、マダムにお話を伺うと、今日お会いしたマダムはスタッフさんで、オーナーさんが店を開いてからはもう20年以上経つそうだ。
「そうですか。私、金沢ですけど、今日初めて見つけました」
「何となく通り過ぎちゃうんですよね。よく言われます(笑)」
「ちょっと通りから、引っ込んでますもんね」
「よく言われます!」
そして、答え合わせ。
「あのフルーツティーって、何が入ってました?」
「リンゴと、バナナと…」
「あとパインですかね」
「そうです、桃も入ってましたね」
「ああー、桃ですね」
あのシマチョウ感のあった果物は、桃。
確かに桃である。
シマチョウではない。
こういうバカ舌の持ち主には、何を食わせても無駄である。
甲斐がないわ。
「帰りにまたそこで一本吸って行ってもいいですか?」
「はい、どうぞ。また、どうぞ。ありがとうございました」
google MAP
所在地
金沢市小将町3ー7
営業時間
10:00〜18:00
定休日
日
席数
大テーブル x 1
テーブル x 2
テラス席 x 3
電源
なし
Wi-Fi
なし
SNS
https://www.instagram.com/michi_gift_flower/
店内BGM
なし
トイレ
未確認
喫煙の可否
限定的喫煙可
テラス席でのみ可