喉の渇きを癒したいとき、足の疲労が臨海に達したとき、しのつく雨をしのぎたいとき、買ったばかりの文庫本を開きたいとき、そして、紫煙をくゆらすひと時を過ごしたいとき。 路傍に佇む喫茶店の門をくぐる。 なるべくならば、煙草の似合う、そんな店がいい。
<本日のサ店>
マンデリン
ここより下は、当ブログ執筆者の身辺雑記をふんだんに含んだ、取るに足らないとしか言いようのない雑文雑記ですので、お店の基本データのみを知りたい方は、上記目次より各項目をクリックし、あなたが必要とする情報を摂取したのち、早々に離脱することをお勧めします。バイバイ!
幹線道路は融雪装置もあるので、問題ないのだが、一本太い道路を外れるとまだふんだんに雪が残っており、車輌が通過したタイヤ轍の部分を歩行者は歩くことになるのだが、車輌運転者もタイヤ轍の上を通りたがるので、歩行者が仕方なく道を譲る局面が多い。
金沢は、中心部から少し外れればクソ田舎町なので、日中ならまだしも、夜間などほとんど歩行者はおらず、すぐそこまでも車で出かけるクソ野郎ばかり。クソ。
現代は貧困格差が大きいと言われるが、私がもっとも感じる格差は、自家用車保持者と非保持者の断絶である。交通弱者は車の傍若無人さに辟易し、運転者は歩行者のチンタラぶりに苛立つ。
問題は、運転者は歩行者でもあるということで、ハンドルを握った途端、歩行者目線や歩行者視線を忘失するという恐るべき健忘ぶりには絶望しか感じない。いっそのこと期待すべきは自動運転技術で、運転者が文字通り「ハンドルを握」らなくなれば、AIはもっと歩行者に優しいのではないか?と期待するのだが、AI自体の学習元は、道徳観や倫理観ではなく、効率性や便宜、その場の感情を重んじるクソみたいな人間心理であるから、最適化された自動運転AIは悩むことなく、犬猫老人子供といった交通弱者を轢き殺すようになるだろう。アーメン。
雪を嫌って、バスを利用するとパツンパツンに混んでいたりする。
もう、外出とか嫌。
まず、お前が外出すんなよ。
もう、喫茶店くらいしか行けないね。
犀川の北を走る犀川大通りを片町から小立野方面に抜けていく、その途上、菊川という街に「喫茶 マンデリン」はあります。
横尾忠則やタモリが好きそうなY字路に建つ喫茶店ですので、その筋の人も楽しめそうです。先端の鋭角からY字に膨らむ形状。
月刊「東京人」 2025年1月号 特集「東京Y字路散歩」 [雑誌]
Y字路に建つので、必然店内は三角形。
右の長辺にカウンター。左の長辺にテーブル席。ドンツキの短辺部にトイレ。
カウンターには、ご常連さんが一人。
「最近、このおっさん見んなぁ。誰や? 稔侍さんなぁ」
テレビに映る小林稔侍に目を細める。
「そういえば、○○なぁ、施設入ったんやて」
「ああ、そうなん?息子さんおったよなぁ」
久々に訪れたのか、昔話に花を咲かすマダムと常連さん。
最奥のテーブル席に座り、ミルクティ ¥550 を注文。するも、
「ごめんね。今、ミルク切らしてるんです」
「ああ、それじゃあ…」
「紅茶にしてもらって、フレッシュ入れてもらったら、どう?」
「ああ。それじゃあ、それでお願いします」
紅茶にコーヒーフレッシュという名の油の塊を放り込んでもミルクティーにはならないことは、私も、誰よりもマダムも知っているのだが、そんなことはどうでも良い。
問題は、、
「こちら、タバコいけますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
灰皿を受け取る。
そう、「マンデリン」は
喫煙可
「もう長いこと頑張ってきたんやから、あとはそれなりにな」
「そうね、ボチボチやって、細々生きてな」
一聴するといくらか切ない、そして非常に意味深い会話に耳を傾けながら、なんちゃってミルクティー作り。
円谷英二は、海底火山の噴煙表現を味噌汁の残り汁をかき混ぜることで思いついたらしい。私もコーヒーフレッシュを紅茶に混ぜ込むことで、なんちゃってミルクティーを創造する。これは、ミルクティーではないだろうが、大体想定の範囲の味であるので、脳内補正を施すと、ほぼミルクティーだろう。



ところで、ゲーム筐体がテーブル替わりとなっている喫茶店は多い。
インベーダーゲームブームのあたりから営業している店の証だろう。
「マンデリン」のテーブルも、コントローラー付き。このコントローラーの部分がテーブルとしては余計。膝の近くに来るので、快適な着座のおいては邪魔。


「このゲームって生きてるんですか?」
「大丈夫よ、そこのコンセントあるでしょ?入れてみて」
ダメ元でマダムに聞いてみると、現役とのこと。
「そうそう、それ。差してみて」
通電。
「おお、イケました!」
「そうでしょ」
パズル〜プ
知らないゲームだが、
大体想定の範囲内のゲームであった。
ほぼよくあるパズルもののアレである。
すぐ終わった。
「いっとき、なんかネットに上げた人がいて、ちょっとゲーム目当てに来る人がいたけど、ほんの一瞬だったよ」
「ちなみに、これゲームやらずにパソコンとか繋いで、仕事すんのもアリですか?」
「いいですよ」
ということで、「喫茶 マンデリン」は電源カフェでもあります。
窓外を見遣ると、さほど交通量は多くない。
「このあたりも昔は証券会社とか銀行とか、働いてる人がたくさんいたから、ウチもやっていけたんだけど、今は人通りも少ないでしょ? そもそも歩いてる人いないもんね」
今は、大豆田グラウンドに開催場所が移動した花火大会がこちら側で開催されていた時には、一晩の売り上げが数十万二なったことも。
「もう、今は食べ物も朝だけ。言ってくれといたら作るけれど。お昼のお客さんが減ったから。でも、トースト類は大丈夫よ」
マダムは、大変失礼だが、どこか、はすっぱな雰囲気。しかし、けして下品な感じはない。
「昔は、呑み屋さんだったとか?ですか」
「いや、最初から喫茶店。居抜きで借りて、もう私が77だから。40年以上かな」
「マダムは、ちょっと酒焼けみたいな声だから」
「そう?私、呑まないんよ。タバコはズッとだけどね」
「禁煙にするつもりはないんですね」
「最近、吸えないところ多いでしょ? だから、ここはズッと喫煙のまま」
「最近は、吸えそうだなと思っても吸えないトコ多いから、ここは吸えそうで…」
「吸える、んよ」
吸えそうで吸える。落ち着けそうで落ち着ける。そんな喫茶店。
なんのサプライズもない。
けど、なんか、サプライズが要りますか。
そんなお店、「喫茶 マンデリン」
google MAP
所在地
金沢市菊川2ー23ー12
営業時間
11:00~18:00
定休日
日
席数
カウンター x 7
テーブル x 4
電源
あり
Wi-Fi
なし
SNS
なし
店内BGM
テレビ(BS-TBS)
トイレ
和式
喫煙の可否
喫煙可能