金沢 なるべく吸える喫茶店

吸えたら良いけれど吸えない時もあるから飲めたら満足です

もう無い喫茶店「カフェルーム ビクトリア」英国人は7回/日に紅茶を飲むのか。

茶店といえば、コーヒーであるが、紅茶という選択肢も侮れない。

私はコーヒーという奴の美味しさを完全に納得した上で享受したことがない、と自認しているので、オルタナティブとしての「紅茶」は一義的に選択すべきメニューといえる。

 

 

今回訪れた「もう無い喫茶店」は、「ビクトリア」


私のような、歴史という大文字の学問に対して真っ先にひれ伏してしまうような浅学非才な人間にとっては、「ビクトリア」といえば、同名の王朝および女王、そこから連想できるのは一点「紅茶」

看板には

「世界の紅茶」

とある。

 

イギリス人は日に7回ティータイムを設ける

なる言説があるようで、


寝起きにはアーリーモーニングティ
朝飯時にはブレックファストティー
11時になったらイレブンジズ
ランチではランチティー
おやつ時にはミッディ・ティーブレイク
夕方にはアフターヌーンティー
夕食前にはハイティー
夕飯の後にはアフターディナーティー
寝る前にはナイトキャップティー

 

とガンガンに飲むようである。
ただ、今のような真夏には、私も日に7回くらいは麦茶を飲する。
その各飲み込み時に、いちいち名前を付けていないだけである。
全体的に「麦茶タイム」と呼んでいれば良い。
少し詳しく言えば、「便所行く前の麦茶タイム」「便所行った後の麦茶タイム」「便所行っていない時の麦茶タイム」と大別できようか。

というか、本当にイギリス上流階級に属する人々が、日に7回も紅茶とそれに伴う軽食を用意させているのだとしたら、その家に仕えるいわゆる家事使用人として働く人たちへの嫌がらせとしか思えない。
茶くらい自分で淹れよう。

 

 

提供品において、コーヒーへと一元化されがちな喫茶店界隈にあって、これほど「紅茶」への優位性を標榜する店舗は珍しい。
いや、「珍しかった」と言わねばならない。
「カフェルーム ビクトリア」はもう無い。

 


「売物件」
なるボードが立てかけられたエントランスルーム。

googleストリートビューで過去に遡ってみても、2012年からハッキリ営業中と目視できるような画像はなかった。
ただ、2024年6月までは、「売物件」看板は確認できない。
ので、閉店されたのは割合最近なのかも知れない。

 

 


側壁面のビルボードによれば、喫茶スペースの他にマッサージ的な施術を施してくれる店舗でも合ったようだ。

確かに外観から想像するにかなり大きなスペースを誇る店舗であったように思える。

 


少し気になったのは、ふた足の看板で「クトリア」と表記されている店舗名は、壁面看板では「ヴィクトリア」

いつしか、「ビーナス」が「ヴィーナス」となり、「バージン」は「ヴァージン」と発音声に近い形で変換されるようになった。
つまり、ここカフェルーム「ビクトリア」もしくは「ヴィクトリア」は、「ビ」が「ヴィ」となる文化的変遷を生き抜いてきた喫茶店なのだろう。
この紅茶を主軸とした喫茶店は、おそらくこの地で永く店を構えていたのだろう。


「Vi」が「ビ」ではなく「ヴィ」となった時期は定かではないが、軍事政権が突然その呼称を国際社会に押し付けた「ミャンマー」ではなく、「ビルマ」の方で表記したい欲があるので、この「世界の紅茶」を謳った喫茶店のことも、「ビクトリア」と呼びたい。

 

ちなみに、もう無い喫茶店「ビクトリア」から通りをひとつ隔てた場所には、

「リード」

という、いわゆる町の本屋さんが、奇跡的に絶賛営業中。

 

「リード」には、猫が多分二匹ばかりいて、豪快に眠っていたりする。
郷土本や、子ども向けの本も多くある。
雑誌や漫画本など、いかにも「町の本屋」然とした佇まいだが、コミック類が大半を占めるような店内構成ではなく、人文系の品揃えも確か。

金沢を離れている間に、認知していた個人書店は概ね姿を消してしまっていた。
昨年から、市内をふらついていて、書店「リード」を見つけ、入店した時には、大量流通に抗うような品揃えに少なからず喜びを覚えた。

いまだに、店内の猫たちとは仲良くなれないが、なるべく「リード」で書籍を購入することにしている。

2024年以降、金沢で見つけた良店のひとつ。
残念ながら、「カフェルーム ビクトリア」はもう無い、ので、この辺訪れたら「リード」に行くことをオススメします。

もしあなたが、私よりも先に「リード」の猫たちと懇意になってしまったら確実に嫉妬する。

 

書店「リード」で買った本を小脇に抱えて、通りを渡り、喫茶店「ビクトリア」で世界の紅茶をしばきながら読み耽る。

そんな酔狂が許された時代がきっとあったのだな、と思いながら「リード」に立ち寄っただけで、帰ります。

「カフェルーム ビクトリア」も、「ヴィクトリア」も、もう無い。

 

「ビクトリア」の店外照明のひとつが壊れ、ガラスが飛び散っていた