現役で目下営業中の喫茶店を訪ねる楽しさに目覚めると同時に、もう無くなってしまった喫茶店の残滓を訪ねる楽しさにも目覚めつつある今日この頃。
元から、喫茶店の醸し出す一種のノスタルジーに感応する面も強かったので、その方向を突き進むと、廃墟趣味に傾倒していく恐れも感じつつ、今日もノスタルジアを探して現地に行きました。
ノスタルジアとノスタルジーは同義ですが、どうやら nostalgia が英語で、nostalgieの方がフランス語のようです。逆だと思っていました。ノスタルジア の方がフランス感ありませんでしょうか? タルコフスキーの『ノスタルジア』からの影響か。
さ、今回もamazonのアフィリエイトリンクノルマ達成したんで、本文へGOです。
「珈琲のばん」は、図書館で借りた『金沢カフェ100』金沢倶楽部 2004年 にて紹介されている。
店の前を通ると香ばしいコーヒーの香りが漂い、思わず中へと足が向いてしまう。喫茶スペースの傍では、朝から夕方にかけてこまめに焙煎を行うご主人、林秀行さんの姿がある。豆は7種類に厳選し、全て3日以内に焙煎したものを使用。30年以上貫く真摯な姿勢が信頼を築き上げている。
お店は、市内の三馬という町にあり、私が幼少期過ごした近隣地域で、かろうじて「あそこに喫茶店あったな」レベルの記憶がある。
金沢赤十字病院のある通り沿いで、小学校の同級生だった河原のクリーニング屋があり、中学の同級生だった安藤の食堂があり、中学生にも余裕でエロ本を売ってくれた北斗書房の近く。なんか、ものすごくノスタルジア。
「珈琲のばん」は、2023年の8月20日に閉店されている。
先代を息子さんが継がれ営業を続けていたようだが、テナント入居していたビル自体の老朽化により、閉店を余儀なくされたようだ。
お店のInstagramが残されている。
https://www.instagram.com/coffee_no_ban/
これが、現在の「珈琲のばん」
跡形なし。もう無い。
ノスタルジアの入り込む余地なし。
閉店事由が「老朽化」であるのだから、建物が1年半経って残っているわけもない。
googleストリートビュー2018年7月分では、お店の外観が確認できる。
全然、間に合わなかった。
「珈琲のばん」
という店名だが、
「珈琲」の「ばん」
であり、
「珈琲」「のばん」
ではない。
「珈琲」の「番」
でも、
「珈琲」の「晩」
でもない。
「の」が「〜of」の意味で使われている。
つまり、ラーメン豚山とかラーメン二郎のパターンではなく、クスリのアオキとか洋服の青山のパターンである。
武田信玄で例えると、
「戦国武将 信玄」
ではなく、
「戦国武将の信玄」
の方である。
どうやら、店名の「ばん」は「波牙」と書き、コーヒーの古い呼称のひとつだそうだ。
「波」に「牙」って戦国武将感がある。
残念ながら、「珈琲の波牙」はもう跡形も無い。